役員報酬はいくらが適正?配当・役員賞与との手残り比較を税理士が解説

― Executive Compensation

役員報酬はいくらが適正?役員賞与・配当・家族給与まで税理士が解説

会社に利益が出てくると、「役員報酬を上げるべきか」「賞与で出せるのか」「配当にした方が手残りは多いのか」という悩みが出てきます。
役員報酬は、法人税だけでなく、社長個人の所得税・住民税・社会保険料・会社の資金繰りまで含めて判断すべき重要な経営判断です。

執筆者:宮原彰吾(税理士)

Big4税理士法人(PwC税理士法人)出身。法人税・所得税・消費税・相続税を一体で見る税務支援を得意とし、目黒区・中目黒の事務所およびオンラインで全国対応。税理士本人が直接ご相談を承ります。

この記事の結論(先にお伝えします)
結論 01役員報酬は原則として期首3か月以内に決め、期中の自由な増減は避けるべきです。
結論 02役員賞与は、事前確定届出給与として支給日・金額を事前に届け出る必要があります。
結論 03配当は社会保険料がかからない一方、法人の損金にならないため、総合課税・配当控除込みで比較が必要です。
この記事の目次
  1. 役員報酬は「法人・個人・社会保険」をセットで考える
  2. 役員報酬の基本:損金にできる3つの方法
  3. 役員賞与を出す場合の注意点
  4. 役員賞与にかかる社会保険料の上限
  5. 役員報酬と配当の違い
  6. 具体例:役員報酬支払前の利益3,500万円の場合
  7. 家族給与・家族役員報酬で注意すべきこと
  8. よくある失敗と注意点
  9. よくあるご質問

― Overview役員報酬は「法人・個人・社会保険」をセットで考える

役員報酬を決めるときに、法人税だけを見て「利益が出そうだから役員報酬を増やそう」と考えるのは危険です。

役員報酬を上げると、会社側では損金(会社の税金計算上の経費)が増えるため、法人税等は下がりやすくなります。一方で、社長個人の所得税・住民税・社会保険料は増えます。

反対に、役員報酬を低く抑えると、個人の税金や社会保険料は抑えやすくなりますが、会社には利益が残り、法人税等が増える可能性があります。また、社長個人の生活費、住宅ローン審査、将来の厚生年金、役員貸付金の発生にも影響します。

POINT 01

法人側の税金

役員報酬・役員賞与が損金になるか、会社にどれだけ利益を残すかを確認します。

POINT 02

個人側の税金

給与所得・配当所得・所得税・住民税・配当控除を含めて比較します。

POINT 03

社会保険料

役員報酬や役員賞与には社会保険料がかかりますが、配当には原則としてかかりません。

役員報酬は「節税額」ではなく「手残り」で判断する

役員報酬を多くすれば法人税は下がりやすくなりますが、個人の税金・社会保険料は増えます。配当にすれば社会保険料はかかりませんが、法人の損金にはなりません。したがって、法人・個人・社会保険料を合算したシミュレーションが重要です。

― Basic Rules役員報酬の基本:損金にできる3つの方法

役員に支払う給与は、自由に損金にできるわけではありません。法人税法上、役員給与は一定の要件を満たさないと、会社の損金に算入(経費として計上)できない場合があります。

中小企業で特に重要なのは、次の3つです。

種類 内容 中小企業での使い方
定期同額給与 毎月同じ金額を支給する役員報酬 最も一般的。月額報酬として生活費を安定的に確保する。
事前確定届出給与 事前に支給日・金額を決めて届け出る役員賞与 利益が読める会社で、賞与形式の支給を検討する場合に使う。
業績連動給与 一定の業績指標に連動して支給する給与 上場会社などでの利用が中心で、一般的な中小企業ではあまり使いません。

1. 定期同額給与(月額報酬)

定期同額給与とは、原則として毎月同じ金額を支給する役員報酬です。中小企業の社長報酬として最も一般的な方法です。

  • 税務署への事前届出は不要
  • 毎月安定した生活費を確保しやすい
  • 給与所得控除を使える
  • 要件を満たせば会社の損金になる

ただし、原則として事業年度開始から3か月以内に決定・改定する必要があります。期中に自由に増額・減額すると、その差額が会社の経費(損金)として認められず、法人税の計算上で利益に足し戻される(損金不算入になる)可能性があります。

もっとも、期中の改定が一切できないわけではありません。次のような事情があるときは、例外的に期中の改定が認められています。

  • 臨時改定事由:役員の役職や職務内容が大きく変わった場合(例:取締役から代表取締役へ昇格した、担当職務が大きく変わった など)
  • 業績悪化改定事由:会社の経営状況が著しく悪化し、やむを得ず減額する場合

逆に言えば、「利益が出たから」「節税したいから」という理由での期中の増減は、原則として認められません。役員報酬は、期首の段階できちんと設計しておくことが大切です。

2. 事前確定届出給与(役員賞与)

役員に賞与を支給したい場合は、事前確定届出給与を検討します。

事前確定届出給与は、あらかじめ「いつ・いくら支給するか」を決め、税務署へ届出をしたうえで、届出どおりに支給する必要があります。

  • 支給日と支給額を事前に決める
  • 税務署へ事前確定届出給与に関する届出書を提出する
  • 届出どおりの日に、届出どおりの金額を支給する
  • 支給日や金額がずれると、損金算入できない(経費として認められない)リスクがある
― 具体例

「12月25日に300万円を支給する」と届け出た場合、原則として12月25日に300万円を支給する必要があります。1日ずれたり、金額が299万円・301万円になったりすると、損金算入できないリスクがあります。

3. 業績連動給与

業績連動給与は、一定の業績指標に連動して支給する役員給与です。ただし、要件が複雑で、一般的な非上場の中小企業では利用頻度は高くありません。

そのため、非上場の中小企業では、基本的に「定期同額給与」と「事前確定届出給与」を中心に検討することになります。

役員報酬の金額に迷っている方へ 法人税・所得税・住民税・社会保険料を含めた役員報酬シミュレーションを行っています。決算前ではなく、期首の段階での設計が重要です。
無料相談はこちら

― Bonus役員賞与を出す場合の注意点

従業員賞与と異なり、役員賞与は「利益が出たから決算前に出す」という使い方がしにくい制度です。

役員賞与を損金にしたい場合、原則として事前確定届出給与として、届出期限までに税務署へ届出を行う必要があります。

届出期限に注意

事前確定届出給与の届出期限は、原則として次のいずれか早い日です。

基準 期限
株主総会等で決議した場合 決議日から1か月を経過する日
事業年度開始日基準 会計期間開始の日から4か月を経過する日

ここで重要なのは、「いずれか遅い日」ではなく「いずれか早い日」という点です。届出が1日でも遅れると、役員賞与を損金にできない可能性があります。

業績が悪化した場合も柔軟に減額しにくい

事前確定届出給与は、届出どおりに支給することが前提です。そのため、業績が悪化したからといって、一部だけ減額して支給することは原則として難しくなります。

実務上は、業績悪化時には「届出どおり全額支給する」か「全額不支給にする」かという判断になりやすく、柔軟な金額調整には向きません。

役員賞与は「節税策」ではなく「資金計画」

役員賞与は、社会保険料や源泉所得税の負担も発生します。支給時期に会社資金が不足しないか、納税資金に影響しないかまで確認したうえで設計する必要があります。

― Social Insurance役員賞与にかかる社会保険料の上限

事前確定届出給与を活用する際に、実務上よく論点になるのが社会保険料です。

賞与にかかる社会保険料は、実際の賞与額から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」(保険料計算のもとになる賞与額)に保険料率を乗じて計算します。ただし、標準賞与額には上限があります。

保険の種類 標準賞与額の上限 実務上の注意点
健康保険 年度累計573万円 毎年4月1日から翌年3月31日までの累計額で判定します。
厚生年金保険 1か月150万円 「1回150万円」ではなく、同月内に2回以上支給される場合は合算して判定します。
介護保険・子ども子育て支援金 健康保険と同様に年度累計573万円 介護保険は40歳から64歳までが対象です。子ども・子育て支援金は令和8年度から料率表に反映されています。

※標準賞与額の上限は令和8年度時点の金額です。健康保険料率・介護保険料率・子ども子育て支援金率などの保険料率は毎年度改定される可能性があるため、実際の計算では最新の保険料額表をご確認ください。

― 具体例:役員賞与300万円の場合

役員賞与300万円を1か月に支給する場合、健康保険は300万円全体が標準賞与額の対象になります。一方、厚生年金は1か月150万円が上限のため、300万円のうち150万円を超える部分には厚生年金保険料がかかりません。

この仕組みを使うと、月額報酬を抑え、賞与でまとまった金額を支給することで、社会保険料を抑えられる場合があります。

ただし、社会保険料を抑えることだけを目的に役員報酬を極端に低く設定するのはおすすめしません。将来の厚生年金、傷病手当金等の保障、住宅ローン審査、社長個人の生活費、役員貸付金の発生などに影響するためです。

社会保険料の最適化にはトレードオフがある

役員賞与の標準賞与額には上限があるため、設計次第では社会保険料を抑えられる場合があります。しかし、事前確定届出給与の届出・支給管理が厳格であること、賞与支給時に資金が必要になること、将来の年金や保障に影響することを踏まえ、総合的に判断する必要があります。

― Dividend役員報酬と配当の違い

社長が株主でもある場合、会社から個人へ資金を移す方法として、役員報酬だけでなく「配当」も検討対象になります。

配当は、役員として働いた対価ではなく、株主として利益分配を受けるものです。役員報酬とは、法人税・所得税・社会保険料の取り扱いが大きく異なります。

項目 役員報酬・役員賞与 配当
法人側の扱い 要件を満たせば損金 損金にならない
個人側の所得区分 給与所得 配当所得
給与所得控除 使える 使えない
社会保険料 対象になる 原則として対象外
所得税・住民税 所得税:累進課税 5〜45%
住民税:一律 約10%
所得税:総合課税 5〜45%(配当控除 5〜10%)/支払時に20.42%を源泉徴収し確定申告で精算
住民税:約10%(配当控除あり)/源泉徴収はなし
主な注意点 期中変更・届出漏れ・過大役員給与 法人で損金にならない、分配可能額、株主構成、源泉徴収・確定申告

※配当の20.42%は「支払時の源泉徴収(税金の前払い)」です。非上場会社の配当は申告分離課税を選べず総合課税となるため、最終的な所得税は累進税率(5〜45%)から配当控除を差し引いて計算し、住民税も別途かかります。上記の税率は令和8年度時点のものです。

非上場会社の配当は、原則として総合課税で考える

非上場の中小企業のオーナー社長が自社から配当を受ける場合、原則として配当所得として総合課税(給与など他の所得と合算して税率を計算する方式)の対象になります。

配当の支払時には、所得税および復興特別所得税として20.42%が源泉徴収されます。ただし、これはあくまで源泉徴収であり、最終的な税負担は確定申告で他の所得と合算して計算します。

また、日本国内に本店のある法人から受ける剰余金の配当などについて、確定申告で総合課税を選択する場合には、一定の配当控除を受けられる場合があります。

― 配当のポイント

配当は社会保険料がかからないため、一見すると有利に見えることがあります。ただし、会社側では損金にならず、法人税等を支払った後の利益から支給する点に注意が必要です。

― Simulation具体例:役員報酬支払前の利益が3,500万円の場合

ここでは、非上場の中小企業を想定して、役員報酬・配当・役員賞与の違いを簡単に比較します。

― 前提条件(令和8年度ベース)
  • 役員報酬・役員賞与・配当の支払前の会社利益:3,500万円(業種・利益率により年商は異なります)
  • 社長個人への支給は合計2,400万円(A〜Cで共通)
  • 社長45歳・東京都・協会けんぽ・介護保険第2号被保険者(40〜64歳)に該当
  • 家族は配偶者(収入なし)と子1人(17歳・高校生)。いずれも社会保険の被扶養者
  • 所得控除は基礎控除・社会保険料控除・扶養控除(子が16〜18歳のため38万円)を考慮(配偶者控除は本人の合計所得金額が1,000万円超のため適用なし)
  • 法人税等は実効税率を概算30%
  • 社会保険料は令和8年度の東京都協会けんぽ料率(健康保険・介護保険・子ども子育て支援金・厚生年金)で概算

※実際の税額・保険料は、会社の業種・規模・所在地、年齢、扶養、所得控除、標準報酬月額、賞与の支給回数、各年度の税率・保険料率により変わります。

ケース A:月額報酬200万円のみ B:月額報酬100万円+配当1,200万円 C:月額報酬100万円+役員賞与1,200万円
役員給与合計 2,400万円 1,200万円 2,400万円
配当 0円 1,200万円 0円
個人負担の社会保険料 約169万円 約142万円 約189万円
会社負担の社会保険料 約172万円 約144万円 約192万円
法人税等(概算30%) 約278万円 約647万円 約272万円
税引後の会社残 約650万円 約309万円 約635万円
個人の手残り 約1,529万円 約1,636万円 約1,520万円
個人手残り+会社残 約2,179万円 約1,945万円 約2,155万円
最有利案(A)との差額
(個人手残り+会社残)
―(最有利) 約−234万円 約−24万円

※上記は令和8年度の税率・保険料率をもとにした記事用の簡易シミュレーションです。所得税は復興特別所得税を、配当は総合課税・配当控除(所得税・住民税)を概算で考慮しています。法人税等の実効税率は業種・規模・所得水準により変わるため、ここでは概算30%としています。実際の税額・社会保険料とは異なる可能性があり、社会保険料は標準報酬月額・標準賞与額の端数処理や等級によって変動します。税率・保険料率は年度ごとに改定される可能性があります。

シミュレーションからわかること

この例では、個人の手残りだけを見ると、配当を組み合わせたケースBが最も多くなります。配当には社会保険料がかからず、配当控除(税額を直接減らせる仕組み)も使えるためです。

一方で、会社に残る資金まで含めた「個人手残り+会社残」で見ると、全額を役員報酬にしたケースAが最も多くなります。表の一番下の差額のとおり、Aを基準にすると、配当を使ったケースBは約234万円、役員賞与を使ったケースCは約24万円少なくなります。配当は法人税等を払った後の利益から支給するため、法人・個人をあわせたトータルでは目減りしやすいのです(役員報酬は損金になり、会社の利益を圧縮できます)。

注目すべきは、役員賞与を使ったケースCが、この所得水準ではあまり効果が出ない点です。月額報酬だけで社会保険料がすでに上限に達しているため、賞与を足すと社会保険料のベースが上乗せされ、むしろ社会保険料が増えてしまうことがあります。賞与で社会保険料を抑えられるのは、月額報酬が上限に達していない所得水準のケースです(前章「社会保険料の上限」参照)。

つまり、「配当が常に有利」「役員賞与が常に有利」「役員報酬が常に有利」とは言えません。今すぐ個人の手元に多く残したいのか、法人と個人を合わせた資産を最大化したいのか、どの所得水準なのかによって、最適解は変わります。

※上記はあくまで単年度(短期)の手残りの比較です。役員報酬・役員賞与は将来受け取る厚生年金額の計算基礎になりますが、配当は計算基礎に含まれません。そのため、月額報酬を抑えて配当中心にすると、目先の手残りは増えても、将来の厚生年金や傷病手当金などの保障が手薄になる可能性があります(ただし厚生年金は標準報酬月額・標準賞与額に上限があるため、一定額を超える部分は報酬でも年金に反映されません)。長期のライフプランも含めて判断することが大切です。

実務上の判断ポイント

  • 社長個人に毎月いくら生活費が必要か
  • 会社にいくら内部留保(会社に残しておくお金)を残したいか
  • 社会保険料を抑えることと、将来の年金・保障のどちらを重視するか
  • 役員賞与の届出・支給管理を正確に行えるか
  • 配当を出せるだけの分配可能額があるか
  • 他の株主がいる場合、配当方針に問題がないか

― Family Salary家族給与・家族役員報酬で注意すべきこと

中小企業では、配偶者や親族が経理・事務・営業・現場管理などを手伝っているケースがあります。この場合、家族に給与や役員報酬を支払うこと自体は可能です。

ただし、税務上重要なのは、実際に働いている実態があるか、金額が業務内容に見合っているかです。

法人で家族に役員報酬を支払う場合

家族を役員にして役員報酬を支払う場合も、通常の役員報酬と同じく、定期同額給与や事前確定届出給与のルールを守る必要があります。

  • 実際に会社の業務に従事しているか
  • 業務内容・役割が明確か
  • 勤務日数・勤務時間の記録があるか
  • 報酬額が職務内容に照らして相当か
  • 議事録で役員報酬の決定を残しているか
  • 現金ではなく、口座振込で支払っているか
  • 源泉所得税・社会保険の処理を適切に行っているか

名義だけ家族を役員にして高額な役員報酬を支払うようなケースは、税務調査で否認されるリスクがあります。

家族を従業員として雇う場合

家族を役員ではなく従業員として雇う場合もあります。この場合、実際に従業員として勤務しているのであれば、通常の給与として処理します。

ただし、同族会社では、形式上は従業員でも、実際には経営に関与している場合、税務上「役員」として扱われる可能性があります。その場合、従業員賞与として処理していたものが、役員賞与として問題になることがあります。

個人事業主が家族に給与を払う場合

個人事業主の場合、生計を一にする配偶者や親族へ支払った給与は、原則として必要経費になりません。

ただし、青色申告者の場合、一定の要件を満たす青色事業専従者給与は必要経費にできます。白色申告の場合は、事業専従者控除として、配偶者は最高86万円、15歳以上のその他親族は最高50万円を控除できる制度があります。

― 法人成りを検討している個人事業主の方へ

年商3,000万円を超えて利益が安定してくると、個人事業主のまま家族給与を使うのか、法人化して役員報酬・家族役員報酬を設計するのかによって、税金・社会保険料・手残りが変わります。法人化の判断では、消費税・社会保険・役員退職金・将来の相続まで含めた検討が重要です。

― Common Mistakesよくある失敗と注意点

1. 決算直前に役員報酬を増やそうとする

役員報酬は、利益が出た後に自由に増やせるものではありません。決算前に慌てて増額しても、原則として増額部分は損金にならない(経費として認められない)可能性があります。職制変更や業績の著しい悪化といった例外を除き、期中の増額は避けるのが基本です。

2. 事前確定届出給与の届出を忘れる

役員賞与を損金にするには、届出期限までに事前確定届出給与の届出を行う必要があります。届出が遅れたり、届出と異なる支給をしたりすると、損金算入できないリスクがあります。

3. 社会保険料だけを見て役員報酬を下げすぎる

役員報酬を低くすれば、社会保険料を抑えられる場合があります。しかし、役員報酬が低すぎると、将来の厚生年金、傷病手当金等の保障、住宅ローン審査、個人の信用に影響する可能性があります。

4. 役員貸付金が増えてしまう

役員報酬を低く設定しすぎると、社長個人の生活費が不足し、会社から社長への貸付金(役員貸付金)が発生しやすくなります。

役員貸付金が多い会社は、金融機関からの評価が下がることがあります。また、税務調査でも資金の流れを確認されやすくなります。

5. 家族給与の勤務実態を説明できない

家族に給与や役員報酬を支払っていても、実際に何をしているのか、どれくらい働いているのか、なぜその金額なのかを説明できなければ、税務調査で問題になる可能性があります。

6. 配当の源泉徴収・確定申告を忘れる

非上場会社の配当は、支払時に20.42%の源泉徴収が必要です。また、原則として総合課税の対象になるため、確定申告で配当控除を含めて最終税額を計算する必要があります。

7. 役員賞与の社会保険料だけを見て判断する

役員賞与には標準賞与額の上限があるため、設計次第では社会保険料を抑えられることがあります。ただし、賞与支給時の資金繰り、将来の年金・保障、毎月の生活費、届出ミスのリスクまで考慮しなければなりません。

― Retirement Bonus将来的には役員退職金も検討対象になる

役員報酬・役員賞与・配当とは別に、将来的には役員退職金も重要な選択肢になります。

役員退職金は、退職時に支給するもので、退職所得として税務上有利になる場合があります。また、会社側でも適正額であれば損金算入できるため、事業承継や引退時の資金設計で重要です。

支給する場合は、退職の事実や金額の根拠を示せるよう、退職金規程や株主総会議事録などを整備しておくと安心です。

単年の節税だけでなく、ライフプランまで考える

役員報酬を低くして社会保険料を抑える、配当で手残りを増やす、役員退職金で将来に備える。いずれも有効な選択肢になり得ますが、単年の税金だけで判断すると、将来の年金・保障・資金繰りで不利になることがあります。

― FAQよくあるご質問

役員報酬は決算前に増やせますか?
原則として、決算前に利益調整目的で増額しても、その増額部分は損金算入できない可能性があります。役員報酬は期首3か月以内に決めるのが基本です。ただし、役職の変更(臨時改定事由)や業績の著しい悪化(業績悪化改定事由)といった一定の事情がある場合は、例外的に期中の改定が認められることがあります。
役員賞与は出せますか?
出すこと自体は可能です。ただし、損金にしたい場合は、事前確定届出給与として支給日・金額を決め、期限までに税務署へ届出を行い、届出どおりに支給する必要があります。
役員賞与に社会保険料の上限はありますか?
あります。健康保険は年度累計573万円、厚生年金は1か月150万円が標準賞与額の上限です。同月内に2回以上賞与を支給する場合、厚生年金は合算して150万円の上限を判定します。(いずれも令和8年度時点)
配当の方が社会保険料がかからないので有利ですか?
配当には原則として社会保険料がかかりません。ただし、法人の損金にはならず、非上場会社の配当は原則として総合課税の対象です。配当控除を考慮しても、常に有利とは限りません。
家族に役員報酬を払ってもよいですか?
実際に会社の業務に従事しており、報酬額が職務内容に見合っていれば可能です。ただし、勤務実態がない、報酬が高すぎる、議事録がないといった場合は税務上問題になる可能性があります。
役員報酬を低くして会社から借りる形でもよいですか?
おすすめしません。役員貸付金が増えると、金融機関からの評価が下がることがあります。また、税務調査でも資金の流れを確認されやすくなります。生活費に必要な金額は、役員報酬として適切に設計することが重要です。

― Summaryまとめ

役員報酬は、単なる税金対策ではなく、会社経営における重要な意思決定です。

役員報酬を高くすれば法人税等は下がりやすくなりますが、個人の所得税・住民税・社会保険料は増えます。配当は社会保険料がかからない一方、法人の損金にはならず、非上場会社では総合課税・配当控除を踏まえた判断が必要です。

また、事前確定届出給与には社会保険料の標準賞与額に上限があるため、月額報酬と賞与の組み合わせによって手残りが変わる場合があります。ただし、届出・支給管理が厳格であり、将来の年金・保障や資金繰りへの影響も踏まえる必要があります。

家族への給与・役員報酬、役員退職金まで含めると、最適な設計は会社ごとに大きく異なります。特に、年商3,000万円を超え、利益が安定してきた中小企業では、役員報酬の設計によって、法人と個人を合わせた手残りが大きく変わることがあります。

― Contact

役員報酬・配当・家族給与の設計でお悩みの方へ

当税理士事務所では、法人税・所得税・住民税・社会保険料を含めた役員報酬シミュレーションを行っています。
Big4税理士法人出身の若手税理士本人が、会社と社長個人の手残りを一体で見ながら、無理のない報酬設計をご提案します。

「役員報酬をいくらにすべきか」「配当と役員賞与のどちらがよいか」「家族に給与を払ってよいか」でお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。

平日 9:00〜18:00 / 土日・祝日も事前予約にて対応可 / オンライン全国対応

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