令和9年から個人事業主は2割特例→3割特例に!消費税のインボイス制度について税理士が解説【令和8年度税制改正】

令和8年度 税制改正情報

令和9年から、個人事業主は
2割特例 → 3割特例 に変更!

⚠ 「2割特例」はいつまで使える? 2026年分の申告で終了します。
フリーランス・個人事業主の消費税負担を大きく軽減してきた2割特例が、令和8年(2026年)分の確定申告をもって終了します。令和8年度税制改正では後継として「3割特例」が設けられますが、いつ・誰が・どのくらい影響を受けるのかを今のうちに把握しておくことが重要です。
2割特例とは?まず基本をおさらい

2023年10月のインボイス制度開始を機に免税事業者からインボイス発行事業者(課税事業者)になった小規模個人事業主を対象に、消費税の納税額を売上税額の2割に軽減する経過措置です。

📊 具体例:年間売上880万円(税込)のフリーランスの場合
売上にかかる消費税(売上税額):880万円 ÷ 1.1 × 10% = 80万円
✅ 2割特例を使う → 80万円 × 20% = 16万円の納税でOK!
❌ 本則課税の場合 → 売上税額 − 仕入税額で計算(経費が少ないと大幅に増える)

計算が非常にシンプルで、事前の届出も不要。確定申告書に適用する旨を記載するだけで使えることが大きなメリットです。

対象者の条件
インボイス登録をきっかけに課税事業者になった
インボイス制度(2023年10月〜)をきっかけに、免税事業者から適格請求書発行事業者として登録した方が対象です。それ以前から課税事業者だった方は対象外です。
基準期間・特定期間の課税売上高が1,000万円以下
2年前(個人の場合は前々年=基準期間)の課税売上が1,000万円を超えていた場合は対象外です。また、前年の1月〜6月(特定期間)の課税売上高または給与等支払額が1,000万円を超える場合も課税事業者となるため、2割特例の対象外となります。売上が増えてきた事業者は特定期間の確認も忘れずに行いましょう。
課税事業者選択届出書を提出していない
インボイス登録前に、自らの意思で課税事業者を選択する届出書を提出していた場合は対象外です。
2割特例の終了と「3割特例」へのロードマップ

2割特例は2026年分の申告(2027年3月申告)で終わります。令和8年度税制改正では、個人事業主限定の後継措置として「3割特例」が新設されます。

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3割特例は「個人事業主」限定の制度です
法人(会社)は3割特例の対象外です。法人は2割特例終了後(2026年10月以降)、本則課税または簡易課税のいずれかを選択する必要があります。
2023年10月〜2025年分 適用済み
2割特例スタート。売上税額の20%のみ納税。
2026年分(令和8年分)最終年
2割特例の最後の適用年。2027年3月の確定申告まで使える。法人は2026年9月30日が属する課税期間まで。
2027年分・2028年分(令和9・10年分)新設・個人のみ
「3割特例」が適用開始。売上税額の30%を納税。法人は対象外。
将来
2029年分(令和11年分)以降
3割特例も終了。本則課税または簡易課税を選択する必要がある。
2割・3割・簡易課税・本則課税を比較する
経過措置(時限的)
2割特例
〜2026年分
20%
売上税額の2割のみ納税
届出不要
現在適用中
経過措置(時限的)
3割特例
2027〜2028年分
30%
売上税額の3割のみ納税
届出不要
後継措置(個人のみ)
恒久的な課税方式
簡易課税
業種
による
売上税額×みなし仕入率
事前届出必要
原則2年縛り
恒久的な課税方式
本則課税(通常)
変動
売上税額−仕入税額
経費が多い業種に有利

※ 2割・3割特例は時限的な経過措置であり、選択肢として並立するものではありません。

📊 具体例:売上880万円(税込)・仕入330万円(税込)・サービス業(みなし仕入率50%)の場合
売上税額 = 880万円 ÷ 1.1 × 10% = 80万円 / 仕入税額 = 330万円 ÷ 1.1 × 10% = 30万円
── 選択できる課税方式の比較 ──
🟤 本則課税 → 80万円 − 30万円 = 納税額 50万円
🟡 簡易課税(みなし仕入率50%) → 80万円 × 50% = 納税額 40万円
── 経過措置(特例)の適用期間ごとの納税額 ──
2割特例(〜2026年分) → 80万円 × 20% = 納税額 16万円
↓ 2026年分で終了。後継措置として3割特例へ
3割特例(2027〜2028年分) → 80万円 × 30% = 納税額 24万円 (個人事業主のみ)
※ 2割・3割特例は同時に選べる制度ではなく、時系列の経過措置です。サービス業では本則課税・簡易課税より特例の方が有利になりやすいことがわかります。

3割特例は2割特例より負担が増えますが、本則課税や業種によっては簡易課税より有利なケースもあります。自分にとって最も有利な方式を選ぶことが重要です。

項目 2割特例
(〜2026年分)
3割特例
(2027〜2028年分)
簡易課税 本則課税
対象 個人・法人 個人のみ 課税売上5,000万円以下 すべて
計算方法 売上税額×20% 売上税額×30% 売上税額×みなし仕入率 売上税額−仕入税額
事前届出 不要 不要 必要 不要
計算の手間 少ない 少ない 普通 多い
2割特例終了後の3つの選択肢

2026年分をもって2割特例が終了した後(法人は2026年10月以降)、次の3つから選ぶことになります。

A
3割特例を使う(個人事業主のみ・2027〜2028年分)
売上税額の3割を納税。届出不要で引き続き簡単な計算が可能。2029年分以降は使えないため、その後の方針も検討が必要です。
B
簡易課税制度を選択する
業種ごとのみなし仕入率で計算。2割特例終了後、最初の課税期間の確定申告期限までに届出書を提出すれば適用可能という特例があります(通常は事前届出が必要)。業種によっては2割・3割特例より有利なこともあります。
C
本則課税を適用する
売上税額から実際の仕入税額を差し引いた額を納税。経費(仕入れ)が多い業種では有利になる場合があります。適格請求書(インボイス)の保存が必要です。
⚠ 簡易課税を選ぶ場合は届出期限に要注意
  • 通常、簡易課税は適用したい年の前日までに届出が必要です
  • ただし2割特例適用者は特例として、2割特例終了後の最初の課税期間に係る確定申告期限までに届出を提出すれば間に合います
  • 個人事業主が2027年分から簡易課税を適用する場合 → 2027年12月31日までに届出が必要
  • この期限を過ぎると本則課税が適用されてしまいます
簡易課税のみなし仕入率(参考)

簡易課税を選ぶ場合は、業種ごとの「みなし仕入率」が重要です。自分の業種の仕入率と2割・3割特例を比較して、有利な方を選びましょう。

事業区分主な業種みなし仕入率2割特例との比較
第一種卸売業90%簡易課税が有利
第二種小売業・農業等80%どちらも同じ
第三種製造業・建設業等70%2割特例が有利
第四種飲食店・その他60%2割特例が有利
第五種サービス業・デザイン等50%2割特例が有利
第六種不動産業40%2割特例が有利
💡 フリーランス・クリエイター系は要注意

デザイナー・ライター・エンジニア・コンサルタントなどのサービス業は第五種(みなし仕入率50%)に該当することが多く、納税額は売上税額の50%になります。2割特例(20%)・3割特例(30%)の方が大幅に有利なため、2028年分までは特例を活用することを強くお勧めします。

どれを選ぶべき? 事前の試算が重要です

3割特例・簡易課税・本則課税のどれが有利かは、業種・年間売上・仕入や経費の金額によって異なります。一律に「これが正解」とは言えないため、あらかじめ各方式でシミュレーションを行うことが必要です。

📊 方式の選び方の目安
経費・仕入が少ない業種(サービス業・フリーランス等)→ 3割特例や簡易課税が有利になりやすい
経費・仕入が多い業種(製造業・建設業等)→ 本則課税が有利になる場合もある
卸売業・小売業(みなし仕入率80〜90%)→ 簡易課税が特例より有利になりやすい
⚠ 簡易課税を選ぶ際の重要な注意点:2年間の継続適用義務
  • 簡易課税制度を選択した場合、最低2年間は継続して適用しなければなりません(2年縛り)。途中で不利だと気づいても、原則として本則課税に戻すことはできません。
  • また、簡易課税を選択している期間中は、消費税の還付を受けることができません。大きな設備投資を予定している場合は特に注意が必要です。
  • 3割特例には2年縛りはありません。そのため、たとえ簡易課税を選択した年であっても、翌年に3割特例の要件(個人事業主・課税売上高1,000万円以下等)を満たしていれば、その年は3割特例を適用することができます。 簡易課税を選びながら、3割特例の要件を満たす年は3割特例を優先する、という柔軟な活用が可能です。
    ただし、本則課税への切り替えは2年縛りにより原則できませんので注意が必要です。
    ✅ 簡易課税を選択 → 翌年に3割特例の要件を満たせば3割特例に切り替えOK
    ❌ 簡易課税を選択 → 本則課税への切り替えは2年縛りにより原則不可
年度別・今やること まとめ
時期特例の状況今やること・期限
2026年分
(令和8年)
2割特例:最終年 2027年3月の申告で2割特例を適用。終了後の方針を検討し始める
2027年分
(令和9年)
3割特例スタート(個人のみ) 簡易課税を選ぶ場合は2027年12月31日までに届出が必要
2028年分
(令和10年)
3割特例:最終年 2029年以降の方針(簡易課税 or 本則課税)を決め、届出を検討
2029年分以降
(令和11年〜)
特例なし 本則課税または簡易課税で申告
ポイント:今すぐ決断は不要ですが、2027年12月末の簡易課税届出期限は見落としやすい落とし穴。早めに税理士に相談して、自分にとって最も有利な方式をシミュレーションしておきましょう。

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